古くから多くの人々に親しまれてきた「醤油ラーメン」
そんな醤油ラーメンの味の決め手となる「醤油」の製造工程についての取材を行いました。
今回取材に協力してくれたのは、長岡市で1831年より醤油づくりを営む老舗「越のむらさき」です。
【越のむらさき】
越のむらさきがある長岡市の摂田屋という地域では、酒、味噌、醤油などの蔵が多数あります。
・吉乃川 (日本酒の有名ブランド)
・機那サフラン酒製造本舗 (薬用酒「サフラン酒」の蔵元)
・長谷川酒造 (越後雪紅梅など)
・星野本店 (越後味噌等)
・味噌星六 (漫画「美味しんぼ」にも登場)
越のむらさきといえば、スーパーなどでも良く見かける「特選かつおだし」が有名です。
【特選かつおだし】
写真右:1リットルボトル
写真左:鮮度を保てる密封ボトル
他にも各種商品を販売しています。
右から
【丸大豆二度じこみ】
仕込みの際に塩水のかわりに火入れ前の生の醤油を用いて、倍の素材、倍の時間をかけて作る再仕込醤油
【越の香】
新潟県産丸大豆と国産小麦を使用した濃口醤油
【悠久】
薄口醤油
※一般的に薄口醤油は色が薄く塩分高めな事が多いですが、越のむらさきの薄口は塩分濃度が低い為、ラーメンに使用した場合、多めに使用してもそれ程しょっぱくならず、また、色を出さずに、しっかりと醤油風味を加える事が出来ます。
【本醸造しょうゆ】
濃口醤油
【白王】
薄口醤油
ここからは醤油の製造工程をご紹介します。
最初に大豆を蒸します。
上の赤いNK缶の中に大豆を入れ、回転させながら蒸していきます。
小麦を炒った後に割砕し細かい粒にします。
レンガの中に入った砂を熱し、そこに小麦を通す事でローストされていきます。
大豆、小麦ともに上記の様に熱を加える事で、大豆のタンパク質、小麦のデンプンを、こうじ菌の育成に適した状態に変性させます。
大豆と小麦に種麹(たねこうじ)を混ぜ合わせ、麹室(こうじむろ)と呼ばれる温度管理された部屋に25センチの厚さになる様に敷き詰める「盛込み」を行います。
【盛込みを行う麹室】
麹室の床面には細かな穴が開いており、下から空気が送り込まれます。
攪拌する機械が麹室を縦断し、大豆と小麦を混ぜてほぐし、空気を入れる「手入れ」を2回行います。
麹室は2階にあり、外側にある送風機で培養に最適な湿った暖かい空気を1階部分に送り込み、、麹室の床面から吹き上げます。
【麹室の一階部分に空気を送り込む接続部】
こうして46時間かけて醤油麹が出来上がります。
次に醤油麹と塩水を混ぜて「仕込み」を行います。
※もろみ蔵、塩水タンクは関係者以外立ち入り禁止
1~1年半かけてじっくりと発酵、熟成させます。
タンク内では熟成期間中、固形物と水分がなじむ様に、攪拌する作業が繰り返し行われます。
冒頭に紹介した「丸大豆二度じこみ」は、通常の醤油が麹と塩水を混ぜるところ、塩水のかわりに1年半かけて熟成させた「もろみ」を用い、麹と混ぜ合わせ再び熟成を行います。
(トータルで約3年間熟成)
【通常のもろみ(左)、二度仕込み醤油(右)】
倍の素材と時間をかける事で、味と香りが強く印象的な味わいとなります。
もろみを麻布に入れ、水圧器でプレスし、生の醤油(生揚げ)を搾り取ります。
※作業中の為、近寄っての撮影が出来ませんでした
搾り取った醤油は加熱(火入れ)する事で、酵素の活動を止めて味を安定させ、また、殺菌や香りを付ける効果もあります。
その後、検査や瓶詰めなどが行われ、出荷されていきます。
以上の様な過程を経て出来上がった醤油が、私達の食卓へと届けられています。
【越のむらさきの商品の数々】
今回取材した越のむらさきの「丸大豆二度仕込み」を用い、当サイト管理人がラーメンを自作してみました。
【越のむらさき二度じこみラーメン】
醤油自体が深みのある味わいなので、特に工夫せずとも、醤油風味全開の一杯となりました。
もちろん、2度仕込み醤油は、ラーメン以外にも様々な料理に使用可能です。
(刺身、寿司、照り焼き、煮物等)
ご家庭では、出汁醤油や、つゆ、濃い口醤油等、また、ラーメン店には、濃口醤油や薄口醤油が使いやすく、また、味も良いのでお勧めです。
地元新潟の醤油を色々と試してみてはいかがでしょうか?
(掲載日付 2015年3月11日)