ラーメンの「麺」の材料となる「小麦粉」の製粉工場での工程をご紹介します。
今回、見学させてもらったのは、新潟市江南区の亀田駅近くにある「丸榮製粉」です。
まずは、小麦の種類についてです。
日本国内で使用されている小麦は、国産が約18%、輸入が約86%と、大半が輸入によりまかなわれており、輸入元はアメリカ約60%、カナダ22%、オーストラリア18%となっています。
前列左より
オーストラリア産「プライムハード」
アメリカ産「ウエスタン・ホワイト」
オーストラリア産「オーストラリアン・スタンダード・ホワイト」
後列左より
アメリカ産「ハード・レッド・ウインター」
カナダ産「N0.1 カナダ・ウェスタン」
アメリカ産「ダーク・ノーザン・スプリング」
特にプライムハードは、中華麺を作るのに適しているとの事です。
この小麦を以下の工程で小麦粉にします。
1.精選・調質
小麦に混じるゴミなどを取り除き、少量の水を加え粉砕しやすくします。
2.挽砕(ばんさい)
小麦を粉砕します。
3.篩分け(ふるいわけ)・仕上げ
粉砕した小麦を粉とふすまに篩い分けます。
※2~3を繰り返す
4.包装
包装機で袋に詰め、金属検出機により金属片などの混入をチェック、検量機にて内容量をチェックします。
【ロール機での粉砕】
写真下が粉砕前、写真上が粉砕後で、小麦が細かくなっています。
ロール機の映像はこちら
ロール機にかけた小麦を篩機にかけて、大きさの違いによって粉とふすまに篩い分けます。
【篩機】
篩機の映像はこちら
振動と風力を利用したピューリ・ファイヤーで、比重の違いによる選別をし、ふすまを更に取り除きます。(純化)
【ピューリ・ファイヤー】
小麦は写真左から右へ振動しふるいにかけながら、上部の管より吸引し浮き上がる事で、重いものから早い段階(左側)で下部に落ち、軽いものは中々落ちない為、右側に落ちるという仕組みで分離(純化)していきます。
この工程を繰り返す事で、小麦を外側(皮)から中心部まで、品質の異なる40種類以上もの粉に分けられます。
出来上がった小麦粉をユーザーの要望に合わせて、2~4種類のレギュラー小麦粉をブレンドし、専用の小麦粉も製造できます。
粉の組み合わせはコンピュータ制御となっています。
【制御板】
出荷前には、各種測定器にて成分分析を行います。
【水分量の検査器】
【灰分量の検査器】
そうした検査を経て、用途に合わせて配合された小麦粉は、袋に詰められ出荷されます。
上記写真は、丸榮製粉のオリジナルブランドの小麦粉で、詳細は以下の通りです。
「龍」(下段右)
中華麺用小麦粉。粒子が細かく茹で上がりの麺肌にツヤが出ます。粘弾性に優れたグルテンを多く含んでいます。
「白鳥」(下段中央)
歩留まりを抑え(麦中央部が多い)ている為、麺の仕上がりの色が明るくなり、歯切れの良い食感が特徴です。
「ゴールデンファースト」(下段右)
パン用の小麦粉ですが、歩留まりを抑えて製粉しているので、中華麺用としても使用出来ます。グルテンによる強いコシが特長です。
「蜃気楼」(上段右)
龍をベースにソフト感を出し、ツヤや喉越しの良い麺に仕上がります。
「万里の郷」(上段左)
龍をベースに弾性を強くしており、モチモチ感のある食感に仕上がります。
この他にも、各種小麦粉があり、用途に合わせ使用します。
(つけ麺用に開発したうどん用中力粉をブレンドした「つけまる」、北海道産小麦「春よ恋」を使用した小麦粉等)
また、ラーメン店の要望に応え、各種小麦粉を作りたい麺に合わせブレンドした状態で卸す、等の対応もしているそうです。
新潟市でも東横などの人気ラーメン店が、丸榮製粉の小麦粉を使用し、自家製麺を打っていたり、また、藤屋製麺所などの製麺所に粉を卸すなどしています。
※製麺については、東横の製麺作業、藤屋製麺所についての記事を参照して下さい
(「龍」の袋を持った安部氏が移っています)
ラーメン店を開業し自家製麺を打ちたい、または、自家製麺への切り替えを検討している、などの場合は丸榮製粉に相談してみてはいかがでしょうか?
丸榮製粉の乾燥麺の製造工程についてはこちら
【丸榮製粉株式会社の詳細】
住所 : 新潟市江南区東船場5-1-7 (亀田駅徒歩3分)
TEL : 025-382-3511
(掲載日付 2013年5月2日)